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セキュリティ2025-12-2410 分

ビジネスメール詐欺(BEC)とは?手口と対策を徹底解説

ビジネスメール詐欺(BEC)の手口と対策を解説。経営者なりすまし、取引先偽装など典型的な手口と、メール認証による防止策を紹介します。

#BEC#ビジネスメール詐欺#なりすまし#メール認証#セキュリティ対策

「社長からの緊急送金依頼...本当に本人から?」

ビジネスメール詐欺(BEC: Business Email Compromise)は、企業を狙った高度な詐欺です。被害額は世界で数十億ドル規模に達しています。この記事では、BECの手口と具体的な対策を解説します。

ビジネスメール詐欺(BEC)とは

BECは、企業の経営者や取引先になりすまし、不正な送金や機密情報の漏洩を誘発する詐欺です。

被害の規模

項目データ
世界の被害額(2023年)約29億ドル
日本国内の被害額推定100億円以上
1件あたりの平均被害額約1,000万円
成功率約3%(試行回数が多い)

なぜ危険なのか

  • 技術的対策をすり抜ける: ウイルスやマルウェアを使わない
  • 人間の判断ミスを狙う: ソーシャルエンジニアリング
  • 発覚が遅れる: 正規のメールに見える
  • 被害額が大きい: 1回で数千万円の被害も

BECの典型的な5つの手口

手口1: 経営者なりすまし(CEO詐欺)

シナリオ: 経営者を装い、経理担当者に緊急の送金を指示。

From: 田中太郎社長 <t.tanaka@example-company.com>
To: 経理部 山田
Subject: 【至急】送金依頼

山田さん

今、重要な商談中で電話に出られません。
急ぎで以下の口座に送金をお願いします。

金額: 3,500万円
口座: ○○銀行 普通 1234567
名義: 株式会社ABC

本日15時までに完了してください。
詳細は後ほど説明します。

田中

見分けるポイント:

  • 普段と異なる送金先
  • 電話での確認を避ける
  • 極端な緊急性
  • いつもと違う依頼方法

手口2: 取引先偽装

シナリオ: 取引先を装い、振込先口座の変更を依頼。

From: 株式会社XYZ 経理部 <accounting@xyz-corp.co.jp>
To: 株式会社御社 買掛金担当
Subject: 振込口座変更のお知らせ

いつもお世話になっております。
株式会社XYZ経理部です。

弊社の振込口座が下記に変更となりましたので、
次回以降の支払いにつきましては、新しい口座への
振込をお願いいたします。

【新振込口座】
銀行名: △△銀行 渋谷支店
口座種別: 普通
口座番号: 9876543
口座名義: カ)XYZカイシャ

見分けるポイント:

  • メールアドレスのドメインが微妙に違う
  • 突然の口座変更
  • 電話確認を促さない

手口3: 弁護士・専門家なりすまし

シナリオ: 顧問弁護士や税理士を装い、機密取引への参加を依頼。

From: 山本法律事務所 <yamamoto@law-office.jp>
Subject: 【機密】M&A案件について

○○株式会社 社長様

現在進行中のM&A案件について、デューデリジェンスの
ため、以下の書類の準備をお願いいたします。

機密性の高い案件のため、この件は社内でも
限られた方のみでお取り扱いください。

・直近3期分の財務諸表
・主要取引先リスト
・...

手口4: アカウント乗っ取り

シナリオ: 実際の社員のメールアカウントを乗っ取り、本人になりすまして詐欺を行う。

特徴:

  • 本物のメールアドレスから送信
  • 過去のメールを参照して自然な文面
  • 発覚が非常に遅れる

手口5: 請求書偽装

シナリオ: 実在する請求書を改ざんし、振込先口座だけを変更。

特徴:

  • 実際の取引に基づく正確な金額
  • 見た目は本物と同一
  • PDF添付ファイルの改ざん

BEC対策:技術面

1. メール認証の強化

SPF/DKIM/DMARCを正しく設定することで、なりすましメールを検出できます。

# 厳格なDMARCポリシー
_dmarc.example.com TXT "v=DMARC1; p=reject; rua=mailto:dmarc@example.com"

RiskLensで診断: 自社ドメインのメール認証状況を確認し、p=rejectを目指しましょう。

2. メールフィルタリング

  • 外部メールに「【外部】」タグを付与
  • 類似ドメインからのメールを警告
  • 新規ドメインからの初回メールを隔離

3. 多要素認証(MFA)

メールアカウントへの不正アクセスを防止:

  • Microsoft 365: Microsoft Authenticator
  • Google Workspace: Google Authenticator
  • 全アカウントでMFA必須化

4. 類似ドメインの監視

自社ドメインに似たドメインが登録されていないか監視:

  • example.com → examp1e.com(1とlの誤認)
  • example.com → exarnple.com(rnとm)
  • example.com → example.co(.jpなし)

BEC対策:運用面

1. 送金承認プロセスの見直し

金額承認プロセス
100万円未満部長承認
100万円以上部長 + 経理部長
500万円以上上記 + 役員
口座変更電話での確認必須

2. コールバック手順

振込先変更や高額送金の依頼があった場合:

  1. メールに記載の連絡先は使わない
  2. 既知の電話番号に電話
  3. 本人確認を実施
  4. 承認記録を残す

3. 従業員教育

  • 定期的なBEC訓練メールの送信
  • インシデント報告の奨励
  • 事例共有による意識向上

4. 情報公開の制限

攻撃者は公開情報を悪用します:

  • 組織図の公開を控える
  • SNSでの役職情報を制限
  • 取引先情報の管理

BECの兆候チェックリスト

以下の兆候があれば要注意:

  • 送金先口座の変更依頼
  • いつもと違う送金方法の指定
  • 「内密に」「口外禁止」の強調
  • 電話確認を避ける依頼
  • 極端に短い期限
  • 普段と違う文体・敬語
  • 微妙に違うメールアドレス

被害に遭った場合の対応

即座に行うこと

  1. 銀行に連絡して送金停止を依頼
  2. 警察に被害届を提出
  3. 関係者への情報共有
  4. アカウントのパスワード変更

その後の対応

  1. 原因調査(フォレンジック)
  2. 再発防止策の策定
  3. 従業員への周知
  4. 必要に応じて公表

時間との勝負

送金後72時間以内であれば、資金凍結の可能性があります。異変に気づいたら即座に行動してください。

経営層への報告ポイント

BEC対策を経営層に提案する際のポイント:

リスクの定量化

年間の潜在的被害額 =
  試行回数(推定50回/年) × 成功率(3%) × 平均被害額(1,000万円)
= 1,500万円/年

対策コスト(メール認証 + 訓練): 約100万円/年
→ ROI: 1,400%

必要な投資

対策初期コスト運用コスト/年
メール認証設定0〜10万円0円
メールフィルタリング強化50〜200万円30〜100万円
従業員訓練30〜100万円20〜50万円
類似ドメイン監視0〜10万円10〜30万円

まとめ

BECは技術的対策だけでは防げない、人間を狙った詐欺です。

対策の優先順位:

優先度対策効果
1送金承認プロセスの見直し最重要
2メール認証(DMARC)設定なりすまし防止
3従業員教育・訓練意識向上
4メールフィルタリング技術的防御

まずはRiskLensで自社ドメインのメール認証状況を診断し、なりすまし対策を強化しましょう。

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